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この夏最大の盛岡のイベント「さんさ夏祭り」は、多くの華麗な踊り手と、お囃子の横笛、勇壮な「さんさ太鼓」の腹の底に響く音で大いに盛り上がった。そして、今度は恒例の八幡様の秋祭りがやって来る。
日本の祭りに欠かせない音には、いろいろあるが、何といっても和太鼓の響き。盛岡では、太鼓製造に関わる店舗は本当に少ない。太田橋の信号の手前、坂の途中にある「高松義雄太鼓店」の前では太鼓の張替えに使う皮をゆっくり伸ばす作業をしていた。先にお話を伺ったのは、若ご主人。太鼓の中でも和太鼓には、大きく分けて2種類があり、民謡やさんさ太鼓等は「桶太鼓」。桶職人が精巧に造った箍の入った桶部分の胴に漆様の塗りを施し、縁に模様を入れて皮を張った鏡を2枚重ね合わせ、「クレモナ」というロープで編み上げる。胴は寸分の狂いも音に影響するので、桶職人さんは名指しでお願いしているという。最近は「よさこい」用にロープの代わりにボルトとナットで締め上げる造り方もあるという。
もう1つは「鋲太鼓」。皮の直径部が50センチ以上もあり、胴部分は1本の木を刳り貫いた物もあり、高さも様々ある。皮と胴を鋲で押さえている。鋲太鼓の良さはたくさんあるが、樹の種類による木目の美しさと品格は格別。胴部分が古くなったら削れば新品同様になる。樹の種類にはケヤキ・カツラ・トチ・センなどがあり、1本の木から造るとなると乾燥も含めて、10年がかりの作業となる。丸太を刳り貫いて乾燥させるのだが、この作業工程が悪いと全てに影響があるので、慎重に時間を掛けて丁寧に仕上げるが、作業途中数年でひび割れが生じたりすることも多々ある。
皮の話では、最近は殆どが牛皮で、北上の鬼剣舞で使う太鼓の皮は馬皮を使うという。馬皮はとても薄く伸び、音が高く鳴り響くが、なかなか手に入らないという。
鋲にも種類があり、見せていただいた手作りの鋲は小さいながら迫力があった。機械が作った均一なものと、ほんの少しデコボコした力強い手作りの鋲。裏側には打ち込みやすいように工夫も見られる。太鼓は、皮を打つと、胴がその振動や音を響かせる。つまり皮と胴が一体となってはじめて心地よい響きが生まれるもの。皮と胴を繋ぐものの一つに鋲があるが、作業工程はちょっと秘密で教えられないという。
職人の仕事について。「道具は職人の命なのです。」例えとして、新しく購入した鉋を見せてもらい、現在使っている物を手渡されて見る。先ず、持った時の手触りが違うし、様々な工夫がしてある。より使いやすいように手を加え、自分にあった鉋にしてあるということ。他の道具も殆どが手を加えられて自分使用になっていた。既成の製品では既成のものが出来上がる。オリジナルの物を造っていく為だけでは無く、仕事のし易さ、道具に対する愛着、造った物に対する愛情…と繋がっていくための職人の道具。
途中から、代表の初雄氏も加わり、職人の話になった。
「この桶職人は、すごい腕なのです。材料の選択から現地に出向き、自分の目で見て納得のいく物を仕入れてからの作業をする。こちらでは、その最高の桶に気合を入れて遜色の無い皮を張り、仕上げをする。納得のいく太鼓の音を出す為、それぞれの過程が全て気の抜けない職人の仕事だと自負しています。」
見せ掛けでない、プロの魂と長い年月掛かって造られる太鼓には、確かな存在感と深い感動を覚える。
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